SHU一級建築士事務所

トーコーキッチンへようこそ!を読んでみた。

(元)建主さんが、本を出した。

不動産屋さんの2代目。
近所で見かけた住宅(紡ぎの家)に興味を持ち、
ネット上で、私の設計だとたまたま知ってご連絡くださった。のがきっかけ。

多分、7年くらい前のこと。
多分、この本の主役「トーコーキッチン」が世に出た頃だった。(気がする。)

当時、
管理物件の入居者向けに、
”その部屋のカードキーのみで入れる食堂(店舗)”をつくった。という話を聞いた。

なんか面白そうなことやってるなー、
くらいに思っていた気がする。

この本は、その「トーコーキッチン」の色々が詰まった本。

………………….

仕掛けと、遊び心と、そして、何より、思いのしっかり乗った、
きちんとした仕組みづくり。

ただ面白うそうだから。でやっていたわけではないのだ、と
ちゃんと認識しました。笑

こんな仕組み、ここまで機能させてて、もう、凄すぎ素敵すぎで、
だからこんなふうに愛されるんだと腑に落ちた。

コミュニティーの大切さは感じつつ
コミュニティー感がちょっと苦手だったりする私にとって
適度な距離感のコミュニケーションができる
このトーコーキッチンの心地さは、想像に難くない。

低層で、小規模で、共有スペースを散りばめた集合住宅を設計したーい。
とか言っている私、
場(空間)の雰囲気、動線とか居心地とか、そんな発想が頭を占めるけど
仕組みが何より大切なんだよ、と改めてズッシと考えさせられました。

………………….

●グッドデザイン賞、「サービスデザイン」で応募したのに「地域づくり」で受賞してしまったり
●「空室対策はメニュー開発。」と言い切ってしまったり
●食材の話、メニューの話が愛情たっぷり丁寧に書かれていていたり

に、クスってなり

●”ミーヤキャットでお持ちのお客様〜”

には、声を出して笑った。
(提供時間がかかる時は番号札代わりに動物のフィギュアを持たされ、動物名で呼ばれる。)
(ミーヤキャットがツボすぎたw)

●広告自体が、お客様に喜ばれる商品になる仕組み
●直面する問題を解決する策を、手持ちの札から導きだした答え
●期待に応えようと無理をすると、無理を感じて心からサービスを楽しんでもらえなくなる

という地に足着いた感が勉強になり

●窮屈な仕組みにならないよう剪定し、抜けを作る
●ガチガチに決められた企画は面白みがない
●遊び心がないものに衝動は駆り立てられない

という気張らない感に共感した。

「自分達の仕事に対する姿勢を雄弁に語ってくれるような柱を探さなくては。」
伝わりにくい価値を
「実感が伴う分かりやすいカタチで伝達する術を考えなければいけない。」

で、
たどり着いた答えが、街を変えることにつながったこと。ほんとうに素敵すぎた。

伝え方に苦戦している私。
えっと、
峰さん、
今度相談に乗ってください。
あと、
老後、入居させてください。

ニヤニヤしながら、ちゃんと地に足着いた仕事をしたい人におすすめの本。

………………….

(余談)この本を読ませていただき、

トイレットペーパーをインテリアにしたり
隠し部屋を作ったり、な、この(元)建主さんのおウチ、
まさに、らしい、ピッタリな家なんだなって、改めて思いました。

↓よかったら併せて読んでみて。
トイレットペーパーをインテリアにした話。
(もうひとつの動く鏡もこのおうちの話です)
子たちにすぐに見つかっちゃった隠し部屋の話。

↓このblog内のこのおウチの関連記事もまとめておきます。
はじまります。
がらんどう。
手のかかる子。
1週間後。
抜け。
原動力。

竣工写真はこちら。


一覧へ