SHU一級建築士事務所

我輩は施主である


「我輩は施主である」
    赤瀬川原平
    読売新聞社
読みました
おもしろかった、赤瀬川さん、おもしろいよ
文章の流れ方、リズムはさることながら
なんといっても比喩がおもしろすぎる
話がどんどんずれていく、その戻り方がおもしろい
建築家とのやりとりがおもしろい 笑いどころ満載です
あー、イラスト(林丈二氏)もすごくいい
「我輩は施主である。家はまだない。これから建てる」
で始まるこの本は、赤瀬川氏が自邸を建てるまでを書いた本であります
(あとがきには「この小説はフィクションであり」とあるけれど)
施主の悩み、緊張感、覚悟、楽しみ方、そんなことがうかがえます
でもだからといって
これから家を建てようという方が
「じゃ、うちも参考に」
と安易に手に取る、は、多分ちょっと違う
なぜなら、施主は芸術家である赤瀬川氏であるし
設計は野蛮人、いい意味で、と呼ばれている藤森氏である訳なのだから….
「このようなつくり方には二度と恵まれないだろう。
 恵んでやる言われても、はたして受ける気力が残っているかどうか」
藤森さん自身も雑誌(住宅特集)でそんなことを言っている
「もしこれを注文しただけの商品として受け取ったならば
 こういう納得は難しいんじゃないかと思う
 それが家とのつき合いの今後に随分影響すると実感している」
赤瀬川さんは雑誌(住宅特集)でこんなことを言っている
この言葉はこの本を読むとよくわかると思う
その辺を感じて欲しい、とも思う
これから建てたい人も、もう建てちゃった人も
そんなこと全然考えていない人も
それぞれに楽しめると思うので、ぜひどうぞ
……読んだ勢いで「ニラハウス」見に行っちゃいました
 (その話はまた次回)
* 「ニラハウス」とは
  この本の舞台、屋根にニラがなびく赤瀬川さんの自邸
  設計は東京大学生産技術研究所教授の藤森照信氏
  この「ニラハウス」で日本芸術大賞を受賞している
  因みに藤森さんの自邸は屋根と外壁にタンポポを植えた「タンポポハウス」


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